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北京昊華能源 大安山煤砿
Daanshan Coal Mine
2017.10.31
レポート : 【 2017.10 】
         
   
北京では、PM2.5対策の一環として、市内にある炭砿全てを閉山する計画が進んでおり、大安山煤砿も 2019年に閉山になることが決まっています。

こちらでは 10kmに及ぶ電化軌道を有するものの、北京市郊外の山中にあって 交通の便が悪いことに加え、地表部に姿を現す区間が殆どないこともあって、訪問を見合わせていたのですが、閉山になる前に 一度は 見ておきたいと考え 訪れてみることにしました。

現地への案内は 北京の劉京安氏 に依頼し、彼の知人の車に乗せてもらうことができました。
 
   

 
 
  北京市内から 1時間余りかかって 最初に訪れたのは、電化軌道の中間に位置する橋梁で 朝9時半頃のことでした。

殆どが トンネルの中を走る電化軌道だけに、走行シーンを見ようと思えば、この辺りしかないな と考えていました。

しかし、ここも 軌道の両側には 立派な柵が張り巡らされていて、撮影は 容易ではありません。

僅かな隙間から覗くと、特異なパンタグラフを備えた凸型電気機関車の姿が目に入りました(9号機) 。
     
  続いて、人車を牽引するL型の青い機関車が姿を見せました。

柵が邪魔なため 正面からしか撮ることができず、人車は後ろに隠れてしまいました。
 
     
  何とか撮影しやすい場所を探そうと、トンネルポータルの脇(上の写真の左上辺り)へ 移ることにしました。

ここで しばらく 待っていたところ、凸型電気機関車の牽く空車列車の姿が見えてきました。

列車は、道路をオーバークロスする橋梁を 通過し、トンネルの中へと消えて行きました。
 
     
  続いて、上の写真の奥に見えていた岩山に登ってみることにしました。

ちょうど 登り終えた頃に、トンネルから 凸型電気機関車の牽く石炭列車が姿を現しました。
 
     
  その後は 西に進み、トンネルを抜けた先にある 電化軌道のヤードへ出向きました。

しかし、あいにく 中には入れてもらえず、向かいの山の中腹から撮ったのが この写真です。

ヤードの手前側に 坑口があり、奥側には 先ほどの橋梁へと続くトンネルの入口が見えています。
 
     
  少し移動して、サイドから撮りました。

下に見える建物が 電化軌道のヤード周辺に立ち並ぶ施設で、山の上にわずかに見えているのが 大安山煤砿の本部施設です。

これらの間には 230m程の標高差があり、 山腹には 接続するインクラインが設けられています。

「天空の城」とでも 呼びたい位の趣きがあります。
     
  車で 山道を迂回しながら、その 「天空の城」 へ 登って行きました。

地元で 大安山煤砿 と言えば この一帯を指すそうで、山の上には 炭砿施設の他、管理棟や職員住宅、売店、食堂などが 所狭しと建ち並んでいて、思いのほか便利そうなところです。

ようやく見つけた踏切で、バッテリーロコの走行シーンに出会うことができました(2号機) 。

なお 写真 奥の方に、麓の電化軌道へと続く インクラインがあるものと思われますが、この先へは入れてもらえませんでした。



 
     
  運転手さんが 機関車を停めて、声をかけてくれました(2号機)。

この付近も かつては電化軌道だったそうで、架線柱が 名残りを留めています。

 
     
  すぐ近くには、資材置場があり 数本の引込線がのびていました。

炭砿坑内へ資材を搬入する際は、先ほどの機関車を使用するそうですが 「午前中は もう走らないヨ」 と 言われてしまいました。

おまけに この周辺は 立入制限地域だと告げられたため、昼食を済ませてから下山することになりました。
 
     
  最後に訪れたのは、東側の国鉄線への積込施設のあるエリアです。

山麓の国鉄線と 電化軌道との間には 300mもの標高差があるため、軌道で運ばれてきた石炭は ベルトコンベアで降ろされ、選炭の後 国鉄貨車に積み込まれます。

写真は国鉄線の橋梁上で撮ったものです。

 
     
  その右手には、かつて存在していた 古い軌道の廃線跡を垣間見ることができます。

レールや架線柱が 当時のまま残っていました。



 
     
  この廃線跡(軌間 900mm)は、少し南にある資材置場の跡地まで続いています。

通りがかりの老人の話では、ベルトコンベア設置前にはインクラインがあったらしく、この軌道からインクライン・電化軌道 を介して 大安山へ資材を運び上げていた時の名残りだそうです。